壮大なビジョン 4
〈塊体破砕の父〉と呼ばれるテキサスのスティーヴン・ホールディッチ教授も、粘性の強い地底岩石累層を2000フィートにわたって破砕状に亀裂を生じさせる方法を発明していました。
この技術によってアルバータの硬い砂岩だらけの不毛の荒野、すでに汲みつくされた乾いた井戸穴が随所にある荒野を、天然ガスの宝庫に変えることができるとマスターズは言いました。
さらに、カルガリのエネルギー省のファイルで自由に閲覧できる工程日誌を見れば、それには約十万本の井戸に関して地質上の詳細なデータが記されており、これ以上新しい井戸を掘らなくともその資源の所在を明らかにすることができるでしょう。
マスターズは、新しい経済学とガス技術から充分な情報を得て調査を行えば、新しい巨大な鉱床の発見が可能だと考えていました。
マスターズもこうした事業が困難で、不確かで、しかも費用のかかるものだということは率直に認めています。
たとえば、塊体破砕には井戸一本につき50万ドル近くかかり、相当に利益の上がる油床でなければ割りが合わない。
しかし1973年はどのように費用をかけても潜在資源を獲得すべき千載一遇の年だと彼は見ていました。
世界はコストなど無視できるほどのエネルギー価格高騰時代に移っていくものと彼は確信していました。
「好機も一般に知れてしまえば、もうその時機は失したも同然だ」とマスターズは言っています。